我ろ旅は旅と思ほど家にして
子持ち痩すらむ我が妻愛しも
- 歌の意味
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私の旅は旅だと割り切って思うけれども、家で子を抱えてやせ細っているであろう私の妻がいとおしい。
- 鑑賞
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巻第二十 防人歌 4343
詞書は前の歌に続き「天平勝宝七歳乙未二月、相替りて筑紫の諸国に遣はさるる防人等が歌」
自分の旅は旅だと割り切るが、家で子を抱えてやせているであろう妻がいとおしいと、残した妻子を思いやった一首である。駿河国から進上された歌の七首目である。自分の苦労は耐えるとしても、生活を一人で担う妻を思わずにはいられない心が、方言のままの言葉で率直に表されている。「我ろ」は「我」に接尾語の付いた形、「思ほど」は「思へど」、「家」を「いひ」、「子持ち」を「こめち」、「妻」を「み」と記すのは訛りである。
作者の玉作部広目は駿河国の防人で、詳しい伝は残らない。
初句「我ろ旅は」は私の旅はの意で、自分の境遇を主題として示す。
二句「旅と思ほど」は旅だと思うけれどもの意で、旅の辛さは覚悟のうえだという。
三句「家にして」は家にいての意で、故郷の妻子へと思いを転じる。
四句「子持ち痩すらむ」の「らむ」は現在推量で、子を抱えてやせ細っているであろうと思いやる。
結句「我が妻愛しも」の「かなし」はいとおしい意で、「も」で詠嘆して結ぶ。
かなし:いとおしい。切なくかわいい
- 作者
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玉作部広目
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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真木柱ほめて造れる殿のごと いませ母刀自面変はりせず
- 次の歌
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忘らむて野行き山行き我れ来れど 我が父母は忘れせのかも