家にして恋ひつつあらずは汝が佩ける
大刀になりても斎ひてしかも
- 歌の意味
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家にいて恋い慕い続けているよりは、お前が腰に帯びる大刀になってでも、お前の身を守ってやりたいものだ。
- 鑑賞
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巻第二十 防人歌 4347
詞書は前の歌に続き「天平勝宝七歳乙未二月、相替りて筑紫の諸国に遣はさるる防人等が歌」
家で恋い慕っているよりは、お前の佩く大刀になってでも身を守ってやりたいと、防人となった息子を思う父の歌である。左注によれば、上総国の防人部領使であった少目茨田連沙弥麻呂が二月九日に十九首を進上し、拙劣な歌を除いて載せた。その一首目で、防人本人ではなく見送る父の歌である点が目を引く。大刀となって身に添いたいという発想に、子の身を案じる親の切実さが表れている。次歌はその息子三中の歌で、父子の歌が並べられている。
作者は上総国の国造丁日下部使主三中の父で、名は伝わらない。
初句「家にして」は家にいての意で、残る者の立場を示す。
二句「恋ひつつあらずは」は字余りで、恋い慕い続けているよりはの意である。「ずは」は〜よりはむしろと比較して選ぶ意を表す。
三句「汝が佩ける」は息子が腰に帯びているの意である。
四句「大刀になりても」は大刀に姿を変えてでもの意で、身に添って離れない物を選んでいる。
結句「斎ひてしかも」の「てしかも」は願望の終助詞で、守ってやりたいものだと願って結ぶ。
はく:刀などを腰に帯びる
いはふ:身を慎んで無事を祈る。守る
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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父母が頭掻き撫で幸くあれて 言ひし言葉ぜ忘れかねつる
- 次の歌
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たらちねの母を別れてまこと我れ 旅の仮廬に安く寝むかも