よそにのみ見てや渡らも難波潟
雲居に見ゆる島ならなくに
- 歌の意味
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よそながら見るばかりで過ごして行くのだろうか。難波潟の、雲の彼方に見える島でもないのに。
- 鑑賞
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巻第二十 防人歌 4355
詞書は前の歌に続き「天平勝宝七歳乙未二月、相替りて筑紫の諸国に遣はさるる防人等が歌」
雲の彼方の島でもないのに、よそながら見るばかりで過ごして行くのかと、難波で思いを遂げられぬ嘆きを詠んだ一首である。上総国から進上された歌の九首目である。何を「よそに見る」のかについては、恋しい人とする説、難波の都の華やぎとする説などがあり、解釈が分かれている。「渡らも」は「渡らむ」の訛りである。
作者の丈部山代は上総国武射郡の上丁と記される防人で、詳しい伝は残らない。
初句「よそにのみ」は関わりのないものとしてばかりの意で、離れて見るだけであることを示す。
二句「見てや渡らも」の「や」は疑問の係助詞で、見るだけで過ごすのかと問う。ここで句切れとなる。
三句「難波潟」は難波の干潟で、防人が集結した地を示す。
四句「雲居に見ゆる」は雲の遠くに見えるの意で、はるかな島を描く。
結句「島ならなくに」の「なくに」は打消の詠嘆で、遠い島でもないのにと嘆いて結ぶ。
よそ:関わりのない所。離れた所
くもゐ:雲のある所。はるか遠く
- 作者
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丈部山代
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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たちこもの立ちの騒きに相見てし 妹が心は忘れせぬかも
- 次の歌
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我が母の袖もち撫でて我がからに 泣きし心を忘らえのかも