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桜花今盛りなり難波の海
押し照る宮に聞こしめすなへ

歌の意味
桜の花は今が盛りである。難波の海に照り輝く宮で、大君が天下をお治めになるのにちょうど合わせて。
鑑賞
巻第二十 防人歌 4361

詞書は前の歌に続き「天平勝宝七歳乙未二月、相替りて筑紫の諸国に遣はさるる防人等が歌」、さらに「私の拙懐を陳ぶる一首并せて短歌」
 桜の花が今盛りである、難波の海に照り輝く宮で大君が天下を治められるのに合わせてと、難波宮の繁栄を讃えた一首である。詞書によれば、家持が拙い思いを述べた長歌(本巻の第四千三百六十首)に添えた反歌の一首目で、左注によれば二月十三日の作である。防人の検閲のため難波に滞在していた家持が、難波宮の春景色に寄せて大君の治世を讃えている。防人の悲別の歌が続く中に、宮廷讃美の歌が置かれている。
 作者の大伴家持は大伴旅人の子で、この時は兵部少輔であった。

 初句「桜花」は春の盛りを象徴する花で、宮の繁栄を重ねている。
 二句「今盛りなり」は今まさに盛りであるの意で、ここで句切れとなる。
 三句「難波の海」は難波宮の面する海で、宮の所在を示す。
 四句「押し照る宮に」の「押し照る」は一面に照り輝く意で、本来「難波」にかかる枕詞であるが、ここでは宮を形容している。
 結句「聞こしめすなへ」の「聞こしめす」は治めるの尊敬語、「なへ」は〜とともにの意で、大君の治世と桜の盛りとが時を同じくすることを讃えて結ぶ。

きこしめす:お治めになる
なへ:〜するとともに。〜につれて
作者
大伴家持
出典
万葉集
前の歌
筑紫辺に舳向かる船のいつしかも 仕へまつりて国に舳向かも
次の歌
海原のゆたけき見つつ葦が散る 難波に年は経ぬべく思ほゆ