海原のゆたけき見つつ葦が散る
難波に年は経ぬべく思ほゆ
- 歌の意味
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海原のゆったりと広々としたさまを見ながら、葦の穂の散る難波で、年月を過ごしてしまいそうに思われる。
- 鑑賞
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巻第二十 防人歌 4362
詞書は前の歌に続き「私の拙懐を陳ぶる一首并せて短歌」
広々とした海原を見ながら、葦の散る難波で年を過ごしてしまいそうに思われると、難波の地の豊かさを讃えた反歌の二首目である。左注によれば、二月十三日、兵部少輔大伴家持の作である。前歌が宮の桜を讃えたのに続き、難波の海の雄大さに心ひかれる思いを述べ、土地讃めの歌としている。
作者の大伴家持は大伴旅人の子で、この時は兵部少輔であった。
初句「海原の」は難波の海を指し、前歌の「難波の海」を受けている。
二句「ゆたけき見つつ」の「ゆたけし」は広々としてゆったりしている意で、海の豊かさを見続ける様子を示す。
三句「葦が散る」は葦の穂が散る難波の景から「難波」にかかる枕詞である。
四句「難波に年は」は難波で年月をの意で、この地への愛着を示す。
結句「経ぬべく思ほゆ」の「ぬべし」はきっと〜してしまうだろうの意で、年月を過ごしてしまいそうに思われると結ぶ。
ゆたけし:広々としてゆったりしている
あしがちる:「難波」にかかる枕詞
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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桜花今盛りなり難波の海 押し照る宮に聞こしめすなへ
- 次の歌
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難波津に御船下ろ据ゑ八十楫貫き 今は漕ぎぬと妹に告げこそ