難波津に御船下ろ据ゑ八十楫貫き
今は漕ぎぬと妹に告げこそ
- 歌の意味
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難波津に御船を下ろし据え、多くの櫂を取り付けて、今こそ漕ぎ出したと妻に告げてほしい。
- 鑑賞
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巻第二十 防人歌 4363
詞書は前の歌に続き「天平勝宝七歳乙未二月、相替りて筑紫の諸国に遣はさるる防人等が歌」
難波津に船を下ろして多くの櫂を取り付け、今こそ漕ぎ出したと妻に伝えてほしいと、船出の知らせを妻に届けたいと願った一首である。左注によれば、常陸国の部領防人使であった大目息長真人国島が二月十四日に十七首を進上し、拙劣な歌を除いて載せた。その一首目で、次歌とともに同じ作者の二首である。
作者の若舎人部広足は常陸国茨城郡の防人で、詳しい伝は残らない。
初句「難波津に」は防人の船出の港を示す。
二句「御船下ろ据ゑ」は字余りで、船を水に下ろして据える意である。「下ろ」は「下ろし」の訛りである。
三句「八十楫貫き」は多くの櫂を船に取り付ける意で、大船の出航の様子を示す。
四句「今は漕ぎぬと」は今こそ漕ぎ出したとの意で、妻に伝えたい言葉である。
結句「妹に告げこそ」の「こそ」は願望の終助詞で、妻に告げてほしいと願って結ぶ。同じ常陸の防人の歌に「妹に告ぎこそ」と結ぶ歌があり、同じ願いを詠んでいる。
やそか:多くの櫂
ぬく:櫂などを船に取り付ける
- 作者
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若舎人部広足
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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海原のゆたけき見つつ葦が散る 難波に年は経ぬべく思ほゆ
- 次の歌
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防人に立たむ騒きに家の妹が なるべきことを言はず来ぬかも