押し照るや難波の津ゆり船装ひ
我れは漕ぎぬと妹に告ぎこそ
- 歌の意味
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照り輝く難波の港から船の支度を整えて、私は漕ぎ出したと妻に告げてほしい。
- 鑑賞
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巻第二十 防人歌 4365
詞書は前の歌に続き「天平勝宝七歳乙未二月、相替りて筑紫の諸国に遣はさるる防人等が歌」
難波の港から船を整え、私は漕ぎ出したと妻に告げてほしいと、船出の知らせを妻に託そうとした一首である。常陸国から進上された歌の三首目で、次歌とともに同じ作者の二首である。二首前の歌と同じく、船出を妻に知らせたいという願いを詠んでいる。「ゆり」は「より」の、「告ぎ」は「告げ」の訛りである。
作者の物部道足は常陸国信太郡の防人で、詳しい伝は残らない。
初句「押し照るや」は「難波」にかかる枕詞である。
二句「難波の津ゆり」は難波の港からの意で、出航の地を示す。
三句「船装ひ」は船の出航の支度を整える意である。
四句「我れは漕ぎぬと」は私は漕ぎ出したとの意で、妻に伝えたい言葉である。
結句「妹に告ぎこそ」の「こそ」は願望の終助詞で、二首前の結句「妹に告げこそ」とほぼ同じ句で結んでいる。
ふなよそひ:船の出航の支度
おしてるや:「難波」にかかる枕詞
- 作者
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物部道足
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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防人に立たむ騒きに家の妹が なるべきことを言はず来ぬかも
- 次の歌
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常陸指し行かむ雁もが我が恋を 記して付けて妹に知らせむ