常陸指し行かむ雁もが我が恋を
記して付けて妹に知らせむ
- 歌の意味
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常陸を目指して飛んで行く雁がいればよいのに。私の恋しい思いを書き記して付けて、妻に知らせよう。
- 鑑賞
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巻第二十 防人歌 4366
詞書は前の歌に続き「天平勝宝七歳乙未二月、相替りて筑紫の諸国に遣はさるる防人等が歌」
常陸へ飛ぶ雁がいたら、恋しい思いを書いて付け、妻に知らせようと、便りを託す手立てを願った一首である。常陸国から進上された歌の四首目で、前歌と同じ作者の歌である。雁に手紙を託すという発想は、漢の蘇武の雁書の故事に通じるものとされる。
作者の物部道足は常陸国信太郡の防人で、詳しい伝は残らない。
初句「常陸指し」は故郷の常陸を目指しての意である。
二句「行かむ雁もが」の「もが」は願望で、飛んで行く雁がいればよいのにの意である。ここで句切れとなる。
三句「我が恋を」は自分の恋しい思いをの意である。
四句「記して付けて」は書き記して雁に付けての意で、便りを託す手立てを具体的に思い描く。
結句「妹に知らせむ」の「む」は意志で、妻に知らせようと結ぶ。前歌で人に告げることを頼んだのに続き、ここでは雁に託そうとしている。
しるす:書き記す
- 作者
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物部道足
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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押し照るや難波の津ゆり船装ひ 我れは漕ぎぬと妹に告ぎこそ
- 次の歌
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我が面の忘れもしだは筑波嶺を 振り放け見つつ妹は偲はね