我が面の忘れもしだは筑波嶺を
振り放け見つつ妹は偲はね
- 歌の意味
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私の顔を忘れそうになった時には、筑波の嶺を振り仰いで見ながら、妻よ、私をしのんでおくれ。
- 鑑賞
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巻第二十 防人歌 4367
詞書は前の歌に続き「天平勝宝七歳乙未二月、相替りて筑紫の諸国に遣はさるる防人等が歌」
私の顔を忘れそうになった時には、筑波の嶺を仰ぎ見て私をしのんでほしいと、故郷の山を形見として妻に託した一首である。常陸国から進上された歌の五首目である。故郷の象徴である筑波山を、夫を思い出すよすがとするよう妻に願っている。「もて」は「おもて」の、「しだ」は「時」の、「偲はね」を「しぬはね」と記すのは東国の言葉である。
作者の占部子竜は常陸国茨城郡の防人で、詳しい伝は残らない。
初句「我が面の」は私の顔のの意で、妻の記憶にある夫の顔を示す。
二句「忘れもしだは」は忘れそうになる時にはの意で、「しだ」は時を表す東国の語である。
三句「筑波嶺を」は常陸の名山で、故郷を象徴する山である。後の歌にも筑波が繰り返し詠まれている。
四句「振り放け見つつ」は振り仰いで遠く見やりながらの意である。
結句「妹は偲はね」の「ね」は相手に望む終助詞で、私をしのんでほしいと願って結ぶ。
しだ:時
ふりさけみる:振り仰いで遠くを見る
- 作者
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占部子竜
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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常陸指し行かむ雁もが我が恋を 記して付けて妹に知らせむ
- 次の歌
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久慈川は幸くあり待て潮船に ま楫しじ貫き我は帰り来む