筑波嶺のさ百合の花の夜床にも
愛しけ妹ぞ昼も愛しけ
- 歌の意味
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筑波嶺に咲く百合の花の名のように、夜の床でもいとしい妻は、昼間もまたいとしい。
- 鑑賞
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巻第二十 防人歌 4369
詞書は前の歌に続き「天平勝宝七歳乙未二月、相替りて筑紫の諸国に遣はさるる防人等が歌」
筑波嶺の百合のように、夜の床でもいとしい妻は昼もいとしいと、妻への愛情を率直に述べた一首である。常陸国から進上された歌の七首目で、次歌とともに同じ作者の二首である。故郷の山に咲く百合を引き、夜も昼も変わらぬ思いを朗らかに歌い上げている。「さゆる」は「さゆり」の、「ゆとこ」は「よとこ」の、「かなしけ」は「かなしき」の訛りである。
作者の大舎人部千文は常陸国那賀郡の上丁と記される防人で、詳しい伝は残らない。
初句「筑波嶺の」は前々歌に続いて故郷の山を詠み出している。
二句「さ百合の花の」の「さ」は接頭語で、百合の花を指す。初句と二句は「ゆ」の音の繰り返しで「夜床」を導く序詞である。
三句「夜床にも」は夜の寝床でもの意である。
四句「愛しけ妹ぞ」の「ぞ」は強意で、いとしい妻であるよと強める。
結句「昼も愛しけ」は昼もまたいとしいの意で、三句の「夜床にも」と対をなし、夜と昼を並べて変わらぬ愛情を述べて結ぶ。
さゆり:百合
ゆとこ:夜の寝床
- 作者
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大舎人部千文
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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久慈川は幸くあり待て潮船に ま楫しじ貫き我は帰り来む
- 次の歌
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霰降り鹿島の神を祈りつつ 皇御軍に我れは来にしを