橘の下吹く風のかぐはしき
筑波の山を恋ひずあらめかも
- 歌の意味
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橘の木の下を吹く風が香り高いように、心ひかれる筑波の山を、恋しく思わずにいられようか。
- 鑑賞
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巻第二十 防人歌 4371
詞書は前の歌に続き「天平勝宝七歳乙未二月、相替りて筑紫の諸国に遣はさるる防人等が歌」
橘の下を吹く風のように香り高い筑波の山を、恋しく思わずにいられようかと、故郷の山への思慕を詠んだ一首である。常陸国から進上された歌の九首目である。筑波山を香り高いものとして讃え、故郷を誇る心と慕う心をあわせて述べている。
作者の占部広方は常陸国の助丁と記される防人で、詳しい伝は残らない。
初句「橘の」は香り高い常緑の木で、次の「下吹く風」を導く。
二句「下吹く風の」は木の下を吹く風の意で、初句と二句が「かぐはしき」を導く序詞である。
三句「かぐはしき」は香り高い、心ひかれるの意で、序詞の香りから筑波山の慕わしさへと転じている。
四句「筑波の山を」は常陸の名山で、本巻の常陸の防人の歌に繰り返し詠まれている。
結句「恋ひずあらめかも」の「めかも」は反語で、恋しく思わずにいられようか、いられないと結ぶ。
かぐはし:香り高い。心ひかれる
- 作者
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占部広方
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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霰降り鹿島の神を祈りつつ 皇御軍に我れは来にしを
- 次の歌
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今日よりは返り見なくて大君の 醜の御楯と出で立つ我れは