母刀自も玉にもがもや戴きて
みづらの中に合へ巻かまくも
- 歌の意味
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母上も玉であったらよいのに。頭にいただいて、みずらの中に一緒に巻き込んで行こうものを。
- 鑑賞
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巻第二十 防人歌 4377
詞書は前の歌に続き「天平勝宝七歳乙未二月、相替りて筑紫の諸国に遣はさるる防人等が歌」
母上が玉であればよいのに、頭にいただいてみずらの中に巻き込んで行こうと、母を身に付けて旅に携えたいと願った一首である。下野国から進上された歌の五首目である。遠江国の防人の歌に、父母が花であれば捧げ持って行こうと詠む歌があり、親を身近な物にたとえて携えたいと願う発想が通じている。
作者の津守宿禰小黒栖は下野国の防人で、詳しい伝は残らない。
初句「母刀自も」は母を敬って呼ぶ語で、方言で「あもとじ」と発音している。
二句「玉にもがもや」の「もがも」は願望、「や」は詠嘆で、玉であればよいのにと願う。ここで句切れとなる。
三句「戴きて」は頭の上にいただいての意で、母を大切にする心を示す。
四句「みづらの中に」の「みづら」は髪を左右に分けて耳のあたりで束ねた男子の髪型である。
結句「合へ巻かまくも」は一緒に巻き込もうものをの意で、「まく」は意志の「む」のク語法である。玉を髪に巻き込んで飾る習俗を踏まえている。
みづら:髪を左右に分けて耳のあたりで束ねた男子の髪型
ははとじ:母を敬って呼ぶ語
- 作者
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津守小黒栖
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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旅行きに行くと知らずて母父に 言申さずて今ぞ悔しけ
- 次の歌
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月日やは過ぐは行けども母父が 玉の姿は忘れせなふも