白波の寄そる浜辺に別れなば
いともすべなみ八度袖振る
- 歌の意味
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白波の寄せる浜辺で別れてしまったならば、どうしようもなくて、何度も何度も袖を振ることだ。
- 鑑賞
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巻第二十 防人歌 4379
詞書は前の歌に続き「天平勝宝七歳乙未二月、相替りて筑紫の諸国に遣はさるる防人等が歌」
白波の寄せる浜辺で別れたら、どうしようもなくて何度も袖を振ると、船出の別れの場面を描いた一首である。下野国から進上された歌の七首目である。袖を振るのは別れを惜しみ、相手の魂を招き寄せるしぐさとされ、八度という数にその思いの深さがこめられている。「寄そる」は「寄する」の訛りである。
作者の大舎人部祢麻呂は下野国足利郡の上丁と記される防人で、詳しい伝は残らない。
初句「白波の」は浜辺に寄せる波で、船出の場の景を示す。
二句「寄そる浜辺に」は白波の寄せる浜辺での意である。
三句「別れなば」は別れてしまったならばの意で、仮定条件である。
四句「いともすべなみ」の「すべなみ」はどうしようもないのでの意で、「いとも」で強めている。
結句「八度袖振る」は何度も袖を振るの意で、八度は数の多いことを表す。袖を振るしぐさで別れの思いを示して結ぶ。
すべなし:どうしようもない
- 作者
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大舎人部祢麻呂
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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月日やは過ぐは行けども母父が 玉の姿は忘れせなふも
- 次の歌
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難波津を漕ぎ出て見れば神さぶる 生駒高嶺に雲ぞたなびく