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難波津を漕ぎ出て見れば神さぶる
生駒高嶺に雲ぞたなびく

歌の意味
難波の港を漕ぎ出して振り返り見ると、神々しい生駒の高嶺に雲がたなびいている。
鑑賞
巻第二十 防人歌 4380

詞書は前の歌に続き「天平勝宝七歳乙未二月、相替りて筑紫の諸国に遣はさるる防人等が歌」
 難波の港を漕ぎ出して振り返ると、神々しい生駒の高嶺に雲がたなびいていると、船出の時に見た景を詠んだ一首である。下野国から進上された歌の八首目である。防人の歌には珍しく叙景を主とし、陸を離れる時に仰いだ山の姿に、故郷から遠ざかる感慨を託している。
 作者の大田部三成は下野国梁田郡の上丁と記される防人で、詳しい伝は残らない。

 初句「難波津を」は難波の港をの意で、船出の地を示す。
 二句「漕ぎ出て見れば」は漕ぎ出して見るとの意で、船上から陸を振り返る視点である。
 三句「神さぶる」は神々しい、古びて威厳があるの意で、生駒山の姿を讃える。
 四句「生駒高嶺に」は大和と河内の境にそびえる生駒山の高い峰である。
 結句「雲ぞたなびく」は「ぞ」の係り結びで、連体形「たなびく」で結ぶ。雲のたなびく景に別れの感慨をこめている。

かみさぶ:神々しい。古びて威厳がある
たなびく:雲や霞が横に長く引く
作者
大田部三成
出典
万葉集
前の歌
白波の寄そる浜辺に別れなば いともすべなみ八度袖振る
次の歌
国々の防人集ひ船乗りて 別るを見ればいともすべなし