潮舟の舳越そ白波にはしくも
負ふせたまほか思はへなくに
- 歌の意味
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潮路を行く舟の舳先を越える白波のように、にわかにも防人の務めを仰せつけになったことか。思いもしなかったのに。
- 鑑賞
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巻第二十 防人歌 4389
詞書は前の歌に続き「天平勝宝七歳乙未二月、相替りて筑紫の諸国に遣はさるる防人等が歌」
舟の舳先を越える白波のように、思いもしない時に突然防人の務めを命じられたことだと、急な徴発への驚きを詠んだ一首である。下総国から進上された歌の六首目である。舳先を越えて打ち寄せる白波の激しさに、突然降りかかった運命を重ねている。「越そ」は「越す」の、「負ふせたまほか」は「負ほせたまふか」の訛りとされる。
作者の丈部直大麻呂は下総国印波郡の防人で、詳しい伝は残らない。
初句「潮舟の」は潮路を行く舟のの意である。
二句「舳越そ白波」は舳先を越える白波の意で、初句と二句が「にはしくも」を導く序詞である。
三句「にはしくも」は急に、にわかにの意で、序詞の白波の勢いから徴発の突然さへと転じている。
四句「負ふせたまほか」は防人の務めを負わせなさったことかの意である。
結句「思はへなくに」は思いもしなかったのにの意で、意外さを嘆いて結ぶ。
おほす:負わせる。命じる
にはし:急である。にわかである
- 作者
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丈部大麻呂
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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旅とへど真旅になりぬ家の妹が 着せし衣に垢付きにかり
- 次の歌
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群玉の枢にくぎさし堅めとし 妹が心は動くなめかも