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国々の社の神に幣奉り
贖乞ひすなむ妹が愛しさ

歌の意味
あちこちの国の社の神に幣を奉って、私の無事を祈願しているであろう妻のいとしさよ。
鑑賞
巻第二十 防人歌 4391

詞書は前の歌に続き「天平勝宝七歳乙未二月、相替りて筑紫の諸国に遣はさるる防人等が歌」
 国々の社の神に幣を捧げて、自分の無事を祈っているであろう妻がいとしいと、留守の妻の祈りを思いやった一首である。下総国から進上された歌の八首目である。旅人の無事を家族が神に祈る習俗を踏まえ、祈る妻の姿を思い描いている。「贖乞ひ」は物を供えて神に願うことをいう。
 作者の忍海部五百麻呂は下総国結城郡の防人で、詳しい伝は残らない。

 初句「国々の」は諸国のの意で、防人の歌の中で下野国の歌の初句とも同じである。
 二句「社の神に」は社に祀られた神にの意である。
 三句「幣奉り」は神に幣を捧げての意で、祈りの作法を示す。
 四句「贖乞ひすなむ」は物を供えて無事を祈っているだろうの意で、「なむ」は推量である。
 結句「妹が愛しさ」は体言止めで、妻のいとしさよと詠嘆して結ぶ。

ぬさ:神に捧げる麻や紙などの供え物
あがこひ:物を供えて神に願うこと
作者
忍海部五百麻呂
出典
万葉集
前の歌
群玉の枢にくぎさし堅めとし 妹が心は動くなめかも
次の歌
天地のいづれの神を祈らばか 愛し母にまた言とはむ