- 歌の意味
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海原に霞がたなびき、鶴の鳴き声が悲しく聞こえる宵は、故郷の方がしきりに思われる。
- 鑑賞
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巻第二十 防人歌 4399
詞書は前の歌に続き「天平勝宝七歳乙未二月、相替りて筑紫の諸国に遣はさるる防人等が歌」、さらに「防人の情と為りて思ひを陳べて作る歌一首并せて短歌」
海原に霞がたなびき、鶴の声の悲しい宵は故郷が思われると、防人の心になって望郷の思いを詠んだ一首である。詞書によれば、防人の心になりかわって思いを述べた長歌(本巻の第四千三百九十八首)に添えた反歌の一首目で、左注によれば二月十九日、兵部少輔大伴家持の作である。難波で船出を待つ防人の夕べの心情を、霞と鶴の声という春の水辺の景に託している。
作者の大伴家持は大伴旅人の子で、この時は兵部少輔であった。
初句「海原に」は難波の海を指し、防人が船出を待つ場を示す。
二句「霞たなびき」は春の霞が横に長く引く様子で、遠く故郷を隔てる景である。
三句「鶴が音の」は鶴の鳴き声の意で、哀切な響きを持つ景物である。
四句「悲しき宵は」は鶴の声が悲しく聞こえる夕べはの意である。
結句「国辺し思ほゆ」の「し」は強意で、故郷の方がしきりに思われると結ぶ。次歌も鶴と春の霞を詠み、二首が同じ景でそろえられている。
たづ:鶴
くにへ:故郷の方
- 作者
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大伴家持
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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見わたせば向つ峰の上の花にほひ 照りて立てるは愛しき誰が妻
- 次の歌
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家思ふと寐を寝ず居れば鶴が鳴く 葦辺も見えず春の霞に