唐衣裾に取り付き泣く子らを
置きてぞ来のや母なしにして
- 歌の意味
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唐衣の裾に取りすがって泣く子どもたちを、置いて来てしまったことよ。その子らには母もいないのに。
- 鑑賞
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巻第二十 防人歌 4401
詞書は前の歌に続き「天平勝宝七歳乙未二月、相替りて筑紫の諸国に遣はさるる防人等が歌」
衣の裾にすがって泣く子どもたちを、母もいないのに置いて来てしまったと、残した子らへの痛切な思いを詠んだ一首である。左注によれば、信濃国の防人部領使は道中で病を得て来られず、二月二十二日に十二首が進上され、拙劣な歌を除いて載せた。その一首目である。母のいない子らを残して来た事情を結句で明かし、悲しみを深めている。「唐衣」を「からころむ」、「来ぬ」を「来の」と記すのは訛りである。
作者の他田舎人大島は信濃国小県郡の国造と記される防人で、詳しい伝は残らない。
初句「唐衣」は大陸風の衣で、「裾」にかかる表現として用いられている。
二句「裾に取り付き」は衣の裾にすがりついての意で、別れを拒む子らの姿を描く。
三句「泣く子らを」は泣いている子どもたちをの意である。
四句「置きてぞ来のや」は「ぞ」の係り結びで、置いて来てしまったことよと悔いを強める。ここで句切れとなる。
結句「母なしにして」は倒置で、子らには母もいないのにと事情を後から明かして結ぶ。
からころも:大陸風の衣
- 作者
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他田舎人大島
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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家思ふと寐を寝ず居れば鶴が鳴く 葦辺も見えず春の霞に
- 次の歌
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ちはやぶる神の御坂に幣奉り 斎ふ命は母父がため