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大君の命畏み青雲の
とのびく山を越よて来ぬかむ

歌の意味
大君のご命令を謹んで受けて、青雲のたなびく山を越えて来てしまったことだ。
鑑賞
巻第二十 防人歌 4403

詞書は前の歌に続き「天平勝宝七歳乙未二月、相替りて筑紫の諸国に遣はさるる防人等が歌」
 大君の命令を受けて、青雲のたなびく山を越えて来てしまったと、故郷の山々を越えて来た感慨を詠んだ一首である。左注によれば、信濃国から進上された歌の結びである。信濃の高い山々を越えてはるばる来た道のりを振り返り、故郷から遠く離れたことを実感している。「青雲」を「あをくむ」、「たなびく」を「とのびく」、「越えて」を「越よて」と記すのは訛りで、結句の「来ぬかむ」は「来ぬかも」の訛りとされる。
 作者の小長谷部笠麻呂は信濃国の防人で、詳しい伝は残らない。

 初句「大君の」は防人の歌に繰り返される句である。
 二句「命畏み」は命令を恐れ謹んでの意で、防人の歌の定型の句である。
 三句「青雲の」は青みを帯びた雲の意で、高い山にかかる雲を示す。
 四句「とのびく山を」は雲のたなびく山をの意で、信濃の高山を思わせる。
 結句「越よて来ぬかむ」は越えて来てしまったことだの意で、遠く来た感慨をこめて結ぶ。

あをくも:青みを帯びた雲
作者
小長谷部笠麻呂
出典
万葉集
前の歌
ちはやぶる神の御坂に幣奉り 斎ふ命は母父がため
次の歌
難波道を行きて来までと我妹子が 付けし紐が緒絶えにけるかも