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み空行く雲も使と人は言へど
家づと遣らむたづき知らずも

歌の意味
空を行く雲も使いになると人は言うけれど、家への土産を送り届ける手立てがわからない。
鑑賞
巻第二十 防人歌 4410

詞書は前の歌に続き「防人の悲別の情を陳ぶる歌一首并せて短歌」
 空を行く雲も使いになると人は言うが、家への土産を送る手立てがわからないと、故郷との隔たりを嘆いた反歌の二首目である。左注によれば、二月二十三日、兵部少輔大伴家持の作である。言葉は雲に託せても形ある土産は送れないと、防人の心になって述べている。防人の歌に雁に便りを託そうと詠む歌があり、空を行くものに思いを託す点で通じている。
 作者の大伴家持は大伴旅人の子で、この時は兵部少輔であった。

 初句「み空行く」の「み」は接頭語で、大空を行くの意である。
 二句「雲も使と」は雲も使いになるとの意で、思いを伝える手立てとしての雲をいう。
 三句「人は言へど」は人は言うけれどもの意で、逆接で下の句へ転じる。
 四句「家づと遣らむ」は家への土産を送ろうの意で、次歌も「家づと」を詠み、語がつながっている。
 結句「たづき知らずも」の「たづき」は手段、手がかりの意で、その手立てがわからないと嘆いて結ぶ。下総の防人の歌の結句と同じ句である。

いへづと:家への土産
たづき:手段。手がかり
作者
大伴家持
出典
万葉集
前の歌
家人の斎へにかあらむ平けく 船出はしぬと親に申さね
次の歌
家づとに貝ぞ拾へる浜波は いやしくしくに高く寄すれど