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島蔭に我が船泊てて告げ遣らむ
使を無みや恋ひつつ行かむ

歌の意味
島陰に私の船を泊めても、家に告げ知らせる使いもいないので、恋しく思い続けながら行くのだろうか。
鑑賞
巻第二十 防人歌 4412

詞書は前の歌に続き「防人の悲別の情を陳ぶる歌一首并せて短歌」
 島陰に船を泊めても家に告げる使いもいないので、恋しく思いながら行くのかと、便りの手立てのない航海の寂しさを詠んだ反歌の結びである。左注によれば、二月二十三日、兵部少輔大伴家持の作である。長歌から反歌四首まで、故郷へ知らせを届けたいという防人の思いが一貫して詠まれている。
 作者の大伴家持は大伴旅人の子で、この時は兵部少輔であった。

 初句「島蔭に」は島の陰にの意で、船旅の途中の停泊地を示す。下総の防人の歌にも島蔭を漕ぐ船が詠まれている。
 二句「我が船泊てて」は船を停泊させての意である。
 三句「告げ遣らむ」は家に知らせを送ろうの意で、次の「使」にかかる。
 四句「使を無みや」の「み」は原因を表し、使いがいないのでの意である。「や」は疑問の係助詞で、結びは結句の連体形「む」となる。
 結句「恋ひつつ行かむ」は恋しく思いながら行くのだろうかの意で、一連を寂しさのうちに閉じている。

はつ:船が港に着く。停泊する
作者
大伴家持
出典
万葉集
前の歌
家づとに貝ぞ拾へる浜波は いやしくしくに高く寄すれど
次の歌
枕太刀腰に取り佩きま愛しき 背ろが罷き来む月の知らなく