枕太刀腰に取り佩きま愛しき
背ろが罷き来む月の知らなく
- 歌の意味
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枕元に置いていた太刀を腰に帯びて出て行った、いとしい夫が帰って来る月がいつなのかわからないことよ。
- 鑑賞
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巻第二十 防人歌 4413
詞書は前の歌に続き「天平勝宝七歳乙未二月、相替りて筑紫の諸国に遣はさるる防人等が歌」
枕元の太刀を腰に帯びて出て行った夫が、いつ帰るのかわからないと、防人の妻が夫の帰りを案じた一首である。左注によれば、武蔵国の部領防人使であった掾安曇宿禰三国が二月二十九日に二十首を進上し、拙劣な歌を除いて載せた。その一首目である。武蔵国の歌には防人の妻の歌が多く含まれ、残される側の心が詠まれている。「太刀」を「たし」、「月」を「つく」と記すのは訛りである。
作者の大伴部真足女は武蔵国那珂郡の上丁桧前舎人石前の妻で、詳しい伝は残らない。
初句「枕太刀」は寝る時に枕元に置く太刀で、夫の身近にあった武具である。
二句「腰に取り佩き」は腰に帯びての意で、夫が出立する姿を示す。
三句「ま愛しき」の「ま」は接頭語で、いとしいの意である。
四句「背ろが罷き来む」は夫が帰って来るであろうの意で、「背ろ」は夫を親しんで呼ぶ語である。
結句「月の知らなく」は帰る月がわからないことよの意で、「なく」は打消の「ず」のク語法である。
せ:夫を親しんで呼ぶ語
まく:退出する。任地から帰る
- 作者
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大伴部真足女
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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島蔭に我が船泊てて告げ遣らむ 使を無みや恋ひつつ行かむ
- 次の歌
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大君の命畏み愛しけ 真子が手離り島伝ひ行く