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大君の命畏み愛しけ
真子が手離り島伝ひ行く

歌の意味
大君のご命令を謹んで受けて、いとしい妻の手を離れて、島伝いに行く。
鑑賞
巻第二十 防人歌 4414

詞書は前の歌に続き「天平勝宝七歳乙未二月、相替りて筑紫の諸国に遣はさるる防人等が歌」
 大君の命令を受け、いとしい妻の手を離れて島伝いに行くと、別れて船旅に出る防人の心を詠んだ一首である。武蔵国から進上された歌の二首目で、前歌の妻の歌に対し、夫の側から別れを詠んだ歌が続いている。「愛しけ」は「愛しき」の訛りである。
 作者の大伴部小歳は武蔵国秩父郡の助丁と記される防人で、詳しい伝は残らない。

 初句「大君の」は防人の歌に繰り返される句である。
 二句「命畏み」は命令を恐れ謹んでの意で、防人の歌の定型の句である。
 三句「愛しけ」はいとしいの意で、次の「真子」にかかる。
 四句「真子が手離り」の「真子」は妻をいとしんで呼ぶ語で、妻の手を離れての意である。
 結句「島伝ひ行く」は島から島へと伝って船で行くの意で、海路の旅を示して結ぶ。

まこ:妻や子をいとしんで呼ぶ語
しまづたふ:島から島へと伝って行く
作者
大伴部小歳
出典
万葉集
前の歌
枕太刀腰に取り佩きま愛しき 背ろが罷き来む月の知らなく
次の歌
白玉を手に取り持して見るのすも 家なる妹をまた見てももや