赤駒を山野にはがし捕りかにて
多摩の横山徒歩ゆか遣らむ
- 歌の意味
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赤駒を山野に放し飼いにしていて捕まえることができず、多摩の横山を、夫に徒歩で行かせることになるのだろうか。
- 鑑賞
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巻第二十 防人歌 4417
詞書は前の歌に続き「天平勝宝七歳乙未二月、相替りて筑紫の諸国に遣はさるる防人等が歌」
放し飼いの赤駒を捕まえられず、多摩の横山を夫に徒歩で越えさせるのかと、出立する夫を気遣う妻の心を詠んだ一首である。武蔵国から進上された歌の五首目である。馬を用意できなかった悔しさという具体的な事情を通して、夫の道中の苦労を案じる妻の情愛が表されている。「はがし」は「放し」の、「徒歩」を「かし」と記すのは訛りである。
作者の宇遅部黒女は武蔵国豊島郡の上丁椋椅部荒虫の妻で、詳しい伝は残らない。
初句「赤駒を」は赤毛の馬をの意で、夫の旅に用いるはずの馬である。
二句「山野にはがし」は山野に放し飼いにしての意である。
三句「捕りかにて」は捕まえることができずにの意で、出立に間に合わなかったことをいう。
四句「多摩の横山」は武蔵国の多摩川南岸に横たわる丘陵で、夫が越えて行く道筋である。
結句「徒歩ゆか遣らむ」の「か」は疑問の係助詞で、徒歩で行かせるのだろうかと嘆いて結ぶ。
かし:徒歩
はなつ:放す。放し飼いにする
- 作者
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宇遅部黒女
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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草枕旅行く背なが丸寝せば 家なる我れは紐解かず寝む
- 次の歌
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我が門の片山椿まこと汝れ 我が手触れなな土に落ちもかも