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我が門の片山椿まこと汝れ
我が手触れなな土に落ちもかも

歌の意味
我が家の門口の片山椿よ、本当にお前は、私が手を触れないうちに、地に落ちてしまうのだろうか。
鑑賞
巻第二十 防人歌 4418

詞書は前の歌に続き「天平勝宝七歳乙未二月、相替りて筑紫の諸国に遣はさるる防人等が歌」
 門口の片山椿よ、私が手を触れないうちに地に落ちてしまうのかと、留守の間に恋しい娘が他の男のものになることを案じた一首である。武蔵国から進上された歌の六首目である。椿は思いを寄せる娘をたとえたものとされ、出立によって思いを遂げられない不安が述べられている。「触れなな」は「触れずに」の意の東国の言い方、「落ちも」は「落ちむ」の訛りである。
 作者の物部広足は武蔵国荏原郡の上丁と記される防人で、詳しい伝は残らない。

 初句「我が門の」は我が家の門口のの意で、身近な所を示す。
 二句「片山椿」は山の片側の斜面に咲く椿で、思いを寄せる娘をたとえている。
 三句「まこと汝れ」は本当にお前はの意で、椿に呼びかけている。
 四句「我が手触れなな」は私が手を触れないうちにの意である。
 結句「土に落ちもかも」は地に落ちてしまうだろうかの意で、娘が他の人のものになることへの不安をこめて結ぶ。

かたやまつばき:山の片側の斜面に咲く椿
作者
物部広足
出典
万葉集
前の歌
赤駒を山野にはがし捕りかにて 多摩の横山徒歩ゆか遣らむ
次の歌
家ろには葦火焚けども住みよけを 筑紫に至りて恋しけ思はも