防人に行くは誰が背と問ふ人を
見るが羨しさ物思ひもせず
- 歌の意味
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防人に行くのはどこの人の夫なのかと、尋ねている人を見るのが羨ましい。何の物思いもしないで。
- 鑑賞
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巻第二十 防人歌 4425
詞書は前の歌に続き「天平勝宝七歳乙未二月、相替りて筑紫の諸国に遣はさるる防人等が歌」
防人に行くのは誰の夫かと何気なく尋ねる人を見るのが羨ましい、物思いもせずにと、夫を防人に送る妻の悲しみを詠んだ一首である。左注によれば、昔の年の防人の歌八首で、兵部省の主典であった刑部少録磐余伊美吉諸君が書き写して兵部少輔大伴家持に贈ったものである。その一首目で、防人の歌の中でも、見送る妻の心を鋭く捉えた歌として名高い。他人事として尋ねる人と当事者である自分との隔たりに、悲しみの深さが表れている。
作者の名は伝わらない。夫を防人として送り出した妻の歌とされる。
初句「防人に」は防人としての意で、夫の行く先を示す。
二句「行くは誰が背と」は行くのは誰の夫かとの意で、問う人の言葉を引いている。
三句「問ふ人を」は尋ねる人をの意で、事情を知らない傍観者である。
四句「見るが羨しさ」の「羨し」は羨ましいの意で、体言の「羨しさ」で句切れとなる。
結句「物思ひもせず」は倒置で、何の物思いもせずにと、羨む理由を後から添えて結ぶ。
ともし:羨ましい
せ:夫を親しんで呼ぶ語
- 出典
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万葉集
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色深く背なが衣は染めましを み坂給らばまさやかに見む
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天地の神に幣置き斎ひつつ いませ我が背な我れをし思はば