馬屋なる縄立つ駒の後るがへ
妹が言ひしを置きて悲しも
- 歌の意味
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馬屋につながれた縄を断ち切ろうとする駒のように、後に残されてなるものかと妻が言ったのに、置いて来てしまって悲しい。
- 鑑賞
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巻第二十 防人歌 4429
詞書は前の歌に続き「天平勝宝七歳乙未二月、相替りて筑紫の諸国に遣はさるる防人等が歌」
馬屋の縄を断とうとする駒のように、後に残されるものかと言った妻を置いて来て悲しいと、別れの場面を詠んだ一首である。左注によれば、磐余諸君が書き写して家持に贈った昔の年の防人の歌八首の五首目である。縄を断とうとする駒の激しさに、ついて行こうとすがる妻の思いの強さを重ねている。
作者の名は伝わらない。防人自身の歌とされる。
初句「馬屋なる」は馬屋にいるの意で、家の身近な景を示す。
二句「縄立つ駒の」は縄を断とうとする駒のの意とされ、初句と二句が「後るがへ」を導く序詞となっている。
三句「後るがへ」は後に残されてなるものかの意で、「がへ」は反語を表す東国の語である。
四句「妹が言ひしを」は妻が言ったのにの意で、「を」は逆接である。
結句「置きて悲しも」は置いて来て悲しいの意で、「も」で詠嘆して結ぶ。
うまや:馬小屋
おくる:後に残される
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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我が背なを筑紫は遣りて愛しみ えひは解かななあやにかも寝む
- 次の歌
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荒し男のいをさ手挟み向ひ立ち かなるましづみ出でてと我が来る