荒し男のいをさ手挟み向ひ立ち
かなるましづみ出でてと我が来る
- 歌の意味
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荒々しい男が矢を手挟んで的に向かい立つように、家の騒ぎがしばし静まった間に、私は出て来たのだ。
- 鑑賞
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巻第二十 防人歌 4430
詞書は前の歌に続き「天平勝宝七歳乙未二月、相替りて筑紫の諸国に遣はさるる防人等が歌」
家の騒ぎがしばし静まった隙に出て来たのだと、別れを惜しむ家族のもとを出立した時のことを詠んだ一首である。左注によれば、磐余諸君が書き写して家持に贈った昔の年の防人の歌八首の六首目である。上三句の序は難解で、四句の「かなる」を導くものと解されているが、そのつながりについては諸説がある。
作者の名は伝わらない。防人自身の歌とされる。
初句「荒し男の」は荒々しく勇ましい男のの意である。
二句「いをさ手挟み」は矢を手に挟み持っての意とされる。
三句「向ひ立ち」は的に向かって立っての意で、初句から三句までが四句を導く序詞と解されている。
四句「かなるましづみ」は騒がしい音が静まる間にの意とされ、別れを惜しむ家の騒ぎの静まった隙を示す。
結句「出でてと我が来る」は出て来たのだの意で、慌ただしい出立の様子をこめて結ぶ。
いをさ:矢とされる
ましづむ:静まる
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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馬屋なる縄立つ駒の後るがへ 妹が言ひしを置きて悲しも
- 次の歌
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笹が葉のさやぐ霜夜に七重着る 衣に増せる子ろが肌はも