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朝な朝な上がるひばりになりてしか
都に行きて早帰り来む

歌の意味
毎朝空へ舞い上がるひばりになりたいものだ。そうしたら都に行って、すぐに帰って来よう。
鑑賞
巻第二十 雑歌 4433

詞書「三月三日、防人を検校する勅使と兵部の使人等と、同じく集ひて飲宴して作る歌三首」
 毎朝舞い上がるひばりになりたい、そうすれば都に行ってすぐ帰って来ようと、難波での任務の中で都を恋うた一首である。詞書によれば、三月三日、防人を検閲するため難波に遣わされた勅使と兵部省の使者たちが集まって酒宴を開いた折の歌である。空高く舞い上がるひばりに、都と難波を自由に行き来したい思いを託している。
 作者の安倍沙美麻呂は安倍氏の一族で、この時は紫微中台の次官である紫微大弼で、防人検閲の勅使であった。

 初句「朝な朝な」は毎朝毎朝の意である。
 二句「上がるひばりに」は空高く舞い上がるひばりにの意で、春の景物である。
 三句「なりてしか」の「てしか」は願望の終助詞で、なりたいものだの意である。ここで句切れとなる。
 四句「都に行きて」は都に行っての意で、奈良の都への思いを示す。
 結句「早帰り来む」は早く帰って来ようの意で、「む」は意志である。任務を忘れずすぐ戻ろうという言葉に、勅使としての立場がうかがわれる。次歌もひばりを詠み、宴の歌が呼応している。

ひばり:春に空高く舞い上がってさえずる鳥
作者
安倍沙美麻呂
出典
万葉集
前の歌
障へなへぬ命にあれば愛し妹が 手枕離れあやに悲しも
次の歌
ひばり上がる春へとさやになりぬれば 都も見えず霞たなびく