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ひばり上がる春へとさやになりぬれば
都も見えず霞たなびく

歌の意味
ひばりの舞い上がる春へと、はっきり季節が移ったので、都も見えないほどに霞がたなびいている。
鑑賞
巻第二十 雑歌 4434

詞書は前の歌に続き「三月三日、防人を検校する勅使と兵部の使人等と、同じく集ひて飲宴して作る歌三首」
 ひばりの上がる春にはっきりとなったので、都も見えないほどに霞がたなびいていると、都を思う勅使の歌に応じた一首である。左注によれば、兵部の使いである少輔大伴家持の作である。前歌がひばりになって都へ行きたいと詠んだのを受け、霞に隔てられて都も見えないと応じ、都を恋う思いを共にしている。
 作者の大伴家持は大伴旅人の子で、この時は兵部少輔であった。

 初句「ひばり上がる」は字余りで、前歌の「上がるひばり」を言い換えて受けている。
 二句「春へとさやに」は春へとはっきりとの意で、季節の移りを示す。
 三句「なりぬれば」はなったのでの意で、確定条件である。
 四句「都も見えず」は前歌の「都に行きて」を受け、都の見えない隔たりを嘆く。
 結句「霞たなびく」は霞が横に長く引いているの意で、都を隠す春の景を示して結ぶ。

はるへ:春のころ
作者
大伴家持
出典
万葉集
前の歌
朝な朝な上がるひばりになりてしか 都に行きて早帰り来む
次の歌
ふふめりし花の初めに来し我れや 散りなむ後に都へ行かむ