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霍公鳥なほも鳴かなむ本つ人
かけつつもとな我を音し泣くも

歌の意味
ほととぎすよ、なおも鳴いてほしい。その声に昔なじみの人を心にかけながら、わけもなく私は声をあげて泣くことだ。
鑑賞
巻第二十 雑歌 4437

詞書「先の太上天皇の御製の霍公鳥の歌一首」とあり、注に「日本根子高瑞日清足姫天皇なり」とある
 ほととぎすよなおも鳴いてほしい、その声に昔なじみの人を思い、わけもなく声をあげて泣くことだと、懐旧の情を詠んだ一首である。左注によれば、この歌を含む四首は上総国の大掾大原真人今城が伝え誦したもので、年月は未詳である。ほととぎすは昔を思い出させる鳥とされ、その声に誘われて亡き人や過ぎた日々を偲ぶ心が詠まれている。「本つ人」が誰を指すかは明らかでない。
 作者の先の太上天皇は元正天皇で、草壁皇子と元明天皇の娘であり、聖武天皇に譲位したのちも太上天皇として朝廷に重きをなした女帝である。

 初句「霍公鳥」は昔を思い出させる鳥として詠まれる夏の鳥である。
 二句「なほも鳴かなむ」の「なむ」は他に対する願望で、なおも鳴いてほしいの意である。ここで句切れとなる。
 三句「本つ人」は昔なじみの人の意で、古くから親しんだ人を指す。
 四句「かけつつもとな」の「かく」は心にかける意、「もとな」はわけもなく、むやみにの意である。
 結句「我を音し泣くも」は私が声をあげて泣くことだの意で、「も」で詠嘆して結ぶ。次歌はこの歌に応じた臣下の歌である。

もとつひと:昔なじみの人
もとな:わけもなく。むやみに
作者
元正天皇
出典
万葉集
前の歌
闇の夜の行く先知らず行く我れを いつ来まさむと問ひし子らはも
次の歌
霍公鳥ここに近くを来鳴きてよ 過ぎなむ後に験あらめやも