足柄の八重山越えていましなば
誰れをか君と見つつ偲はむ
- 歌の意味
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足柄の幾重にも重なる山を越えてあなたが行ってしまわれたら、誰をあなたと思って見ながら偲べばよいのでしょう。
- 鑑賞
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巻第二十 雑歌 4440
詞書「上総国の朝集使大掾大原真人今城、京に向かふ時に、郡司の妻女等が餞する歌二首」
足柄の重なる山を越えてあなたが行ってしまったら、誰をあなたと思って偲べばよいのかと、都へ向かう国司を送った一首である。詞書によれば、上総国の大掾大原今城が朝集使として都へ向かう時に、郡司の妻たちが送別の宴で贈った歌である。土地の女性たちが国司との別れを惜しむ心を、恋歌の形を借りて述べている。
作者は上総国の郡司の妻たちで、名は伝わらない。
初句「足柄の」は相模と駿河の境の足柄山で、東国から都へ向かう道の難所である。
二句「八重山越えて」は幾重にも重なる山を越えての意で、隔たりの大きさを示す。
三句「いましなば」は行ってしまわれたならばの意で、「います」は尊敬である。
四句「誰れをか君と」の「か」は疑問の係助詞で、結びは結句の連体形「む」となる。
結句「見つつ偲はむ」は見ながら偲べばよいのかの意で、別れを惜しむ心をこめて結ぶ。
やへやま:幾重にも重なる山
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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松が枝の土に着くまで降る雪を 見ずてや妹が隠り居るらむ
- 次の歌
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立ちしなふ君が姿を忘れずは 世の限りにや恋ひわたりなむ