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我が宿に咲けるなでしこ賄はせむ
ゆめ花散るないやをちに咲け

歌の意味
私の家に咲いているなでしこよ、贈り物をしよう。決して散るな、ますます若返って咲け。
鑑賞
巻第二十 雑歌 4446

詞書「同じ月の十一日、左大臣橘卿、右大弁丹比国人真人の宅に宴する歌三首」
 我が家のなでしこに贈り物をしよう、決して散らず若返って咲けと、なでしこに呼びかける形で主賓の左大臣橘諸兄を寿いだ一首である。詞書によれば、五月十一日、左大臣橘諸兄が右大弁丹比国人の邸で開いた宴の歌で、左注によれば、主人の国人が左大臣を寿いだ歌である。なでしこを諸兄になぞらえ、その長寿と繁栄を願っている。
 作者の丹比国人は丹比真人の一族で、この時は右大弁であった。

 初句「我が宿に」は私の家にの意で、宴の場である国人の邸を示す。
 二句「咲けるなでしこ」は庭に咲くなでしこで、主賓の諸兄をなぞらえている。本巻のこの前後の宴の歌には、なでしこが繰り返し詠まれている。
 三句「賄はせむ」は贈り物をしようの意で、「む」は意志である。ここで句切れとなる。
 四句「ゆめ花散るな」の「ゆめ」は決して、「な」は禁止で、決して散るなと命じる。
 結句「いやをちに咲け」の「をつ」は若返る意で、ますます若返って咲けと寿いで結ぶ。

まひ:贈り物
をつ:若返る
作者
丹比国人
出典
万葉集
前の歌
鴬の声は過ぎぬと思へども しみにし心なほ恋ひにけり
次の歌
賄しつつ君が生ほせるなでしこが 花のみ問はむ君ならなくに