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なでしこが花取り持ちてうつらうつら
見まくの欲しき君にもあるかも

歌の意味
なでしこの花を手に取り持ってつくづくと眺めるように、いつまでも見ていたいあなたであることよ。
鑑賞
巻第二十 雑歌 4449

詞書「十八日、左大臣、兵部卿橘奈良麻呂朝臣の宅に宴する歌三首」
 なでしこの花を手に取ってつくづく眺めるように、いつまでも見ていたいあなたであると、主人の橘奈良麻呂を讃えた一首である。詞書によれば、五月十八日、左大臣橘諸兄が子の兵部卿橘奈良麻呂の邸で開いた宴の歌である。左注によれば治部卿船王の作である。この月の宴の歌に続いて、ここでもなでしこを引いて主人を讃えている。
 作者の船王は舎人親王の子で、この時は治部卿であった。

 初句「なでしこが」はなでしこのの意で、この前後の宴の歌に繰り返し詠まれる花である。
 二句「花取り持ちて」は花を手に取り持っての意である。
 三句「うつらうつら」は字余りで、つくづくと、じっとの意である。初句から三句までが「見まく」を導く比喩となっている。
 四句「見まくの欲しき」は見たいと思うの意である。
 結句「君にもあるかも」は〜であるあなたよの意で、「かも」で詠嘆して結ぶ。

うつらうつら:つくづくと。じっと
作者
船王
出典
万葉集
前の歌
あぢさゐの八重咲くごとく八つ代にを いませ我が背子見つつ偲はむ
次の歌
我が背子が宿のなでしこ散らめやも いや初花に咲きは増すとも