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娘子らが玉裳裾引くこの庭に
秋風吹きて花は散りつつ

歌の意味
乙女たちが美しい裳の裾を引いて歩むこの庭に、秋風が吹いて、花はしきりに散り続けている。
鑑賞
巻第二十 雑歌 4452

詞書「八月十三日、内の南の安殿に在して肆宴する歌二首」
 乙女たちが裳の裾を引いて歩む庭に、秋風が吹いて花が散り続けていると、宮中の宴の庭の華やかな景を詠んだ一首である。詞書によれば、八月十三日、内裏の南の安殿で催された宴の歌である。左注によれば、内匠頭兼播磨守安宿王が奏上した。着飾った乙女たちと散る花とを取り合わせ、宴の庭の優美さを描いている。
 作者の安宿王は長屋王の子で、母は藤原不比等の娘である。この時は内匠頭兼播磨守であった。

 初句「娘子らが」は宴に仕える乙女たちがの意である。
 二句「玉裳裾引く」は美しい裳の裾を引いての意で、「玉」は美称である。
 三句「この庭に」は宴の場である安殿の庭を指す。
 四句「秋風吹きて」は秋風が吹いての意で、季節の景を示す。
 結句「花は散りつつ」の「つつ」は継続で、花がしきりに散り続けていると余情をこめて結ぶ。次歌は同じ庭の散り敷いた花を詠んで応じている。

たまも:美しい裳
作者
安宿王
出典
万葉集
前の歌
うるはしみ我が思ふ君はなでしこが 花になそへて見れど飽かぬかも
次の歌
秋風の吹き扱き敷ける花の庭 清き月夜に見れど飽かぬかも