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あかねさす昼は田賜びてぬばたまの
夜のいとまに摘める芹これ

歌の意味
日の照る昼間は田を人々に分け与える務めに励み、夜の暇に摘んだ芹です、これは。
鑑賞
巻第二十 雑歌 4455

詞書「天平元年の班田の時に、使の葛城王、山背国より薩妙観命婦等の所に贈る歌一首」とあり、注に「芹子の裹に副ふ」とある
 昼は田を分け与える務めをし、夜の暇に摘んだ芹ですこれはと、芹に添えて女官たちに贈った一首である。詞書によれば、天平元年の班田の折、班田使として山背国に赴いていた葛城王が、薩妙観命婦らのもとへ芹の包みに添えて贈った歌である。左注によれば、この歌と次歌の二首は左大臣が読み伝えたもので、左大臣とは葛城王のことであり、のちに橘の姓を賜ったという。忙しい公務の合間に摘んだ芹であることを述べ、贈り物に心をこめている。
 作者の橘諸兄はもと葛城王といい、敏達天皇の後裔である。この時は班田使として山背国に赴いていた。

 初句「あかねさす」は「昼」にかかる枕詞である。
 二句「昼は田賜びて」は昼は田を分け与えての意で、班田の公務を示す。
 三句「ぬばたまの」は「夜」にかかる枕詞で、初句の「あかねさす」と対をなし、昼と夜を並べている。
 四句「夜のいとまに」は夜の暇にの意で、公務の合間を示す。
 結句「摘める芹これ」は摘んだ芹ですこれはの意で、体言で言いさして贈り物を差し出す口ぶりが生きている。本巻の巻頭の歌の結句「山づとぞこれ」と同じく、品を示して結んでいる。

はんでん:田を人々に分け与えること
たたぶ:田を与える
作者
橘諸兄
出典
万葉集
前の歌
高山の巌に生ふる菅の根の ねもころごろに降り置く白雪
次の歌
大夫と思へるものを太刀佩きて 可尓波の田居に芹ぞ摘みける