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堀江漕ぐ伊豆手の舟の楫つくめ
音しば立ちぬ水脈早みかも

歌の意味
堀江を漕ぐ伊豆手の舟の楫の音が、しきりに立っている。水の流れが速いからだろうか。
鑑賞
巻第二十 雑歌 4460

詞書なし。左注に「右の三首は、江辺にして作る」とある
 堀江を漕ぐ伊豆手の舟の楫の音がしきりに立つ、水の流れが速いからだろうかと、難波の堀江の景を詠んだ一首である。左注によれば、堀江のほとりで作った三首の一首目である。作者名は記されないが、前後の配列から大伴家持の作とされる。前歌の楫の音を受け、流れに逆らって漕ぐ舟の音から水の勢いを推し量っている。
 作者の大伴家持は大伴旅人の子で、この時は兵部少輔であった。

 初句「堀江漕ぐ」は難波の堀江を漕ぐの意で、前歌の二句と同じ景である。
 二句「伊豆手の舟の」は伊豆国で造られた型の舟のの意で、本巻の家持の防人の歌にも詠まれた語である。
 三句「楫つくめ」は楫の部分の名とされるが、詳しくは未詳である。
 四句「音しば立ちぬ」はしきりに音が立ったの意で、ここで句切れとなる。
 結句「水脈早みかも」の「み」は原因を表し、水の流れが速いからだろうかと推し量って結ぶ。

みを:水の流れる筋。水脈
しば:しきりに。たびたび
作者
大伴家持
出典
万葉集
前の歌
葦刈りに堀江漕ぐなる楫の音は 大宮人の皆聞くまでに
次の歌
堀江より水脈さかのぼる楫の音の 間なくぞ奈良は恋しかりける