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舟競ふ堀江の川の水際に
来居つつ鳴くは都鳥かも

歌の意味
舟が競い合って行き交う堀江の川の水際に、来ては止まって鳴いているのは、都鳥だろうか。
鑑賞
巻第二十 雑歌 4462

詞書なし。左注に「右の三首は、江辺にして作る」とある
 舟の競い合う堀江の水際に来て鳴いているのは都鳥だろうかと、難波の水辺の景を詠んだ一首である。左注によれば、堀江のほとりで作った三首の結びで、前後の配列から大伴家持の作とされる。「都鳥」という名に、前歌で詠んだ都を恋う思いを重ねて味わっている。
 作者の大伴家持は大伴旅人の子で、この時は兵部少輔であった。

 初句「舟競ふ」は舟が競い合うの意で、堀江のにぎわいを示す。
 二句「堀江の川の」は難波の堀江の流れのの意で、三首を通じての舞台である。
 三句「水際に」は水際にの意である。
 四句「来居つつ鳴くは」は来ては止まって鳴いているのはの意である。
 結句「都鳥かも」は都鳥であろうかの意で、「かも」は疑問を含む詠嘆である。前歌の「奈良は恋しかりける」を受け、「都」の名をもつ鳥で三首を結んでいる。

みやこどり:水辺にすむ鳥の名
みなきは:水際
作者
大伴家持
出典
万葉集
前の歌
堀江より水脈さかのぼる楫の音の 間なくぞ奈良は恋しかりける
次の歌
霍公鳥まづ鳴く朝明いかにせば 我が門過ぎじ語り継ぐまで