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霍公鳥懸けつつ君が松蔭に
紐解き放くる月近づきぬ

歌の意味
ほととぎすの声を心にかけて待ちながら、あなたが松の木陰で衣の紐を解いてくつろぐ月が近づいた。
鑑賞
巻第二十 雑歌 4464

詞書なし。左注に「右の二首は、二十日に大伴宿禰家持、興に依りて作る」とある
 ほととぎすを心にかけて待ちながら、あなたが松の木陰で紐を解いてくつろぐ月が近づいたと、夏の到来を待つ心を詠んだ一首である。左注によれば、三月二十日に家持が興に感じて作った二首の二首目である。「君」が誰を指すかは明らかでない。前歌が初音を待ちわびたのを受け、ほととぎすの鳴く四月が近づいたことを喜んでいる。
 作者の大伴家持は大伴旅人の子で、この時は兵部少輔であった。

 初句「霍公鳥」は前歌の初句と同じで、二首をつないでいる。
 二句「懸けつつ君が」は心にかけて待ちながらあなたがの意である。
 三句「松蔭に」は松の木陰にの意で、夏の涼みの場を示す。
 四句「紐解き放くる」は衣の紐を解いてくつろぐの意で、夏の暑さの中の寛ぎを示す。
 結句「月近づきぬ」はその月が近づいたの意で、「ぬ」は完了である。ほととぎすの鳴く初夏の到来を待つ心をこめて結ぶ。

かく:心にかける
作者
大伴家持
出典
万葉集
前の歌
霍公鳥まづ鳴く朝明いかにせば 我が門過ぎじ語り継ぐまで
次の歌
磯城島の大和の国に明らけき 名に負ふ伴の男心つとめよ