磯城島の大和の国に明らけき
名に負ふ伴の男心つとめよ
- 歌の意味
-
この大和の国に、明らかに輝く名を負う大伴の氏の男たちよ、心して励め。
- 鑑賞
-
巻第二十 雑歌 4466
詞書「族に喩す歌一首并せて短歌」
大和の国に明らかな名を負う大伴の男たちよ、心して励めと、一族を戒めた反歌の一首目である。詞書によれば、一族を諭した長歌(本巻の第四千四百六十五首)に添えた反歌である。左注によれば、淡海真人三船の讒言によって出雲守大伴古慈斐宿禰が解任された事件をきっかけに、家持がこの歌を作ったという。さらに、この歌を含む六首は六月十七日の家持の作である。武門の名族としての誇りを説き、軽はずみな行動を戒めて一族の結束を求めている。
作者の大伴家持は大伴旅人の子で、大伴氏の氏上として一族を率いる立場にあった。この時は兵部少輔であった。
初句「磯城島の」は「大和」にかかる枕詞である。
二句「大和の国に」は日本の国にの意で、大伴氏の名の広く知られることを示す。
三句「明らけき」は明らかな、曇りのないの意で、清く輝かしい名を讃えている。
四句「名に負ふ伴の男」は名を負い持つ大伴の男たちの意で、「伴」は大伴氏を指す。
結句「心つとめよ」は心して励めの意で、命令形で一族を戒めて結ぶ。
とものを:朝廷に仕える氏族の男たち
しきしまの:「大和」にかかる枕詞
- 作者
-
大伴家持
- 出典
-
万葉集
- 前の歌
-
霍公鳥懸けつつ君が松蔭に 紐解き放くる月近づきぬ
- 次の歌
-
剣太刀いよよ磨ぐべし古ゆ さやけく負ひて来にしその名ぞ