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渡る日の影に競ひて尋ねてな
清きその道またもあはむため

歌の意味
空を渡る日の光と競うように急いで求めよう、清らかなその道を。来世にも再び出会うために。
鑑賞
巻第二十 雑歌 4469

詞書は前の歌に続き「病に臥して無常を悲しび、道を修めむと欲ひて作る歌二首」
 空を渡る日の光と競うように、清らかな仏の道を求めよう、再びその道に出会うためにと、残された時の短さを思いながら求道の決意を述べた一首である。左注によれば、六月十七日の家持の作である。日の移ろいに命の短さを重ね、急いで道を求めようとする切迫した思いが表れている。
 作者の大伴家持は大伴旅人の子で、この時は兵部少輔であった。

 初句「渡る日の」は空を渡って行く太陽のの意である。
 二句「影に競ひて」は日の光と競うようにの意で、時の過ぎゆく速さに負けまいとする心を示す。
 三句「尋ねてな」の「な」は意志で、求めようの意である。前歌の結句「道を尋ねな」を受けている。ここで句切れとなる。
 四句「清きその道」は清らかな仏の道の意で、倒置によって求める対象を後から示す。
 結句「またもあはむため」は再び出会うためにの意で、来世でも仏道に出会うことを願って結ぶ。

かげ:日の光
きほふ:競う。張り合う
作者
大伴家持
出典
万葉集
前の歌
うつせみは数なき身なり山川の さやけき見つつ道を尋ねな
次の歌
水泡なす仮れる身ぞとは知れれども なほし願ひつ千年の命を