朝夕に音のみし泣けば焼き太刀の
利心も我れは思ひかねつも
- 歌の意味
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朝に夕に声をあげて泣いてばかりいるので、焼き鍛えた太刀のように鋭くしっかりとした心も、私は保てなくなってしまった。
- 鑑賞
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巻第二十 雑歌 4479
詞書「藤原夫人の歌一首」とあり、注に「浄御原宮に天の下知らしめしし天皇の夫人なり。字を氷上大刀自といふ」とある
朝夕に声をあげて泣いてばかりいるので、しっかりした心も保てなくなったと、深い悲しみを詠んだ一首である。詞書の注によれば、作者は天武天皇の夫人で、氷上大刀自と呼ばれた人である。左注によれば、大原今城が伝え読んだ四首の一首である。泣くことの理由は記されないが、亡き人を悼む歌とも、恋の嘆きの歌とも解されている。
作者の藤原氷上娘は藤原鎌足の娘で、天武天皇の夫人となり、詞書では藤原夫人と記されている。
初句「朝夕に」は朝に夕にの意で、絶え間ない嘆きを示す。
二句「音のみし泣けば」は声をあげて泣いてばかりいるのでの意で、「し」は強意である。
三句「焼き太刀の」は焼き鍛えた太刀のの意で、鋭いことから「利心」にかかる枕詞である。
四句「利心も我れは」の「利心」はしっかりとした鋭い心の意である。
結句「思ひかねつも」は保ちかねてしまったの意で、「も」で詠嘆して結ぶ。次歌は同じ「音のみし泣かゆ」の句をもち、嘆きの歌が並べられている。
とごころ:しっかりとした鋭い心
やきたちの:「利心」にかかる枕詞
- 作者
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藤原氷上娘
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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佐保川に凍りわたれる薄ら氷の 薄き心を我が思はなくに
- 次の歌
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畏きや天の御門を懸けつれば 音のみし泣かゆ朝夕にして