古典和歌stream

畏きや天の御門を懸けつれば
音のみし泣かゆ朝夕にして

歌の意味
恐れ多い天皇のことを心にかけると、声をあげて泣かずにはいられない、朝に夕に。
鑑賞
巻第二十 雑歌 4480

詞書なし。左注に「右の件の四首は、兵部大丞大原今城伝へ読む」とある
 恐れ多い天皇を心にかけると、朝に夕に声をあげて泣かずにはいられないと、天皇を偲ぶ深い嘆きを詠んだ一首である。左注によれば、大原今城が伝え読んだ四首の結びである。原文の末尾には作者未詳との注記がある。前歌と同じく「音のみし泣く」の句を用い、亡き天皇を悼む挽歌と解されている。
 作者は明らかでない。原文に作者未詳と記されている。

 初句「畏きや」の「や」は詠嘆で、恐れ多いことよの意である。
 二句「天の御門を」は天皇を敬っていう語で、ここでは亡き天皇を指すと解される。
 三句「懸けつれば」は心にかけるとの意で、確定条件である。
 四句「音のみし泣かゆ」は声をあげて泣かずにはいられないの意で、前歌の二句と同じ語を用いている。ここで句切れとなる。
 結句「朝夕にして」は朝に夕にの意で、前歌の初句「朝夕に」と同じ語を結句に置き、二首を呼応させている。

あめのみかど:天皇。また朝廷
かく:心にかける
出典
万葉集
前の歌
朝夕に音のみし泣けば焼き太刀の 利心も我れは思ひかねつも
次の歌
あしひきの八つ峰の椿つらつらに 見とも飽かめや植ゑてける君