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時の花いやめづらしもかくしこそ
見し明らめめ秋立つごとに

歌の意味
その時節に咲く花はいよいよすばらしい。このようにこそ、大君はご覧になって御心を晴らされることであろう、秋が来るたびに。
鑑賞
巻第二十 雑歌 4485

詞書なし。左注に「右は、大伴宿禰家持作る」とある
 時節の花はいよいよすばらしい、このようにして大君はご覧になって御心を晴らされるだろう、秋が来るたびにと、大君の治世を寿いだ一首である。左注によれば家持の作である。前の二首で移ろいへの嘆きを述べたのに対し、ここでは季節ごとに咲く花の新たな美しさに目を向け、毎年変わらず続く治世を寿いでいる。
 作者の大伴家持は大伴旅人の子で、この時は兵部大輔であった。

 初句「時の花」はその時節に咲く花の意で、前歌の「咲く花」を受けている。
 二句「いやめづらしも」はいよいよすばらしいの意で、ここで句切れとなる。
 三句「かくしこそ」の「こそ」は係助詞で、結びは四句の已然形「め」となる。このようにこそと強める。
 四句「見し明らめめ」の「見す」は「見る」の尊敬、「明らむ」は心を晴らす意で、大君がご覧になって御心を晴らされるだろうの意である。
 結句「秋立つごとに」は秋が来るたびにの意で、毎年の繰り返しの中に治世の長久を寿いで結ぶ。

めす:「見る」の尊敬語。ご覧になる
あきらむ:心を晴らす
作者
大伴家持
出典
万葉集
前の歌
咲く花は移ろふ時ありあしひきの 山菅の根し長くはありけり
次の歌
天地を照らす日月の極みなく あるべきものを何をか思はむ