古典和歌stream

いざ子どもたはわざなせそ天地の
堅めし国ぞ大和島根は

歌の意味
さあ皆の者よ、愚かなふるまいをするな。天地の神々が固めた国であるぞ、この大和の国は。
鑑賞
巻第二十 雑歌 4487

詞書は前の歌に続き「天平宝字元年十一月十八日、内裏にして肆宴する歌二首」
 さあ皆の者よ、愚かなことをするな、天地の神々が固めた国であるぞ大和の国はと、臣下たちを戒めた一首である。左注によれば、内相藤原朝臣が奏上した歌である。前歌の皇太子の歌が治世の永続を寿いだのを受け、この年の橘奈良麻呂の変を念頭に、反逆を企てる者を戒めたものとされる。
 作者の藤原仲麻呂は藤原武智麻呂の子で、この時は紫微内相として朝政の実権を握っていた。

 初句「いざ子ども」はさあ皆の者よと呼びかける語で、宴に集う臣下を指す。
 二句「たはわざなせそ」の「たはわざ」は愚かなふるまいの意で、「な〜そ」は禁止である。ここで句切れとなる。
 三句「天地の」は前歌の初句「天地を」を受けている。
 四句「堅めし国ぞ」は固めた国であるぞの意で、「ぞ」で強めている。
 結句「大和島根は」は倒置で、日本の国はと主語を後から示して結ぶ。

たはわざ:愚かな行い。たわけたこと
やまとしまね:日本の国
作者
藤原仲麻呂
出典
万葉集
前の歌
天地を照らす日月の極みなく あるべきものを何をか思はむ
次の歌
み雪降る冬は今日のみ鴬の 鳴かむ春へは明日にしあるらし