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八千種の花は移ろふ常盤なる
松のさ枝を我れは結ばな

歌の意味
さまざまな花は色あせて散っていく。いつまでも変わらない松の枝を、私は結んで長寿を祈ろう。
鑑賞
巻第二十 雑歌 4501

詞書は前の歌に続き「二月、式部大輔中臣清麻呂朝臣の宅にして宴する歌十五首」
 さまざまな花は移ろうが、常緑の松の枝を私は結ぼうと、変わらぬ松に主人の長寿を祈った一首である。左注によれば、右中弁大伴家持の作である。松の枝を結ぶのは命の無事や長寿を祈る習俗であり、移ろう花と変わらぬ松とを対比させて、主人の長久を寿いでいる。家持が先に詠んだ、咲く花は移ろうが山菅の根は長いという歌と同じ発想に立っている。
 作者の大伴家持は大伴旅人の子で、この時は右中弁であった。

 初句「八千種の」はさまざまな種類のの意で、多くの花を示す。
 二句「花は移ろふ」は花は色あせて散るの意で、ここで句切れとなる。
 三句「常盤なる」はいつまでも変わらないの意で、二句の「移ろふ」と対をなしている。
 四句「松のさ枝を」の「さ」は接頭語で、松の枝をの意である。前々々歌の「磯松」を受けている。
 結句「我れは結ばな」の「な」は意志で、結んで長寿を祈ろうと結ぶ。

ときは:永久に変わらないこと
さえだ:枝
作者
大伴家持
出典
万葉集
前の歌
梅の花香をかぐはしみ遠けども 心もしのに君をしぞ思ふ
次の歌
梅の花咲き散る春の長き日を 見れども飽かぬ磯にもあるかも