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延ふ葛の絶えず偲はむ大君の
見しし野辺には標結ふべしも

歌の意味
延びていく葛のように絶えることなく偲ぼう。大君がご覧になった野辺には、標縄を張って守るべきである。
鑑賞
巻第二十 雑歌 4509

詞書は前の歌に続き「興に依りて各高円の離宮処を思ひて作る歌五首」
 延びる葛のように絶えず偲ぼう、大君がご覧になった野辺には標を張るべきだと、聖武天皇ゆかりの野を守り伝えたいと願った一首である。左注によれば、右中弁大伴家持の作である。前歌の葛を受け、その絶えることなく延びるさまに追慕の心を重ね、さらに天皇ゆかりの野を神聖な地として守るべきだと述べている。
 作者の大伴家持は大伴旅人の子で、この時は右中弁であった。

 初句「延ふ葛の」は前歌の二句「野辺延ふ葛の」を受け、「絶えず」にかかる枕詞として用いられている。
 二句「絶えず偲はむ」は絶えることなく偲ぼうの意で、ここで句切れとなる。
 三句「大君の」は聖武天皇を指す。
 四句「見しし野辺には」の「見す」は「見る」の尊敬で、大君がご覧になった野辺にはの意である。
 結句「標結ふべしも」は標縄を張って守るべきであるの意で、天皇ゆかりの地を守り伝えようとする心を述べて結ぶ。

しめ:領有や立ち入り禁止を示すために張る縄
めす:「見る」の尊敬語。ご覧になる
作者
大伴家持
出典
万葉集
前の歌
高円の野辺延ふ葛の末つひに 千代に忘れむ我が大君かも
次の歌
大君の継ぎて見すらし高円の 野辺見るごとに音のみし泣かゆ