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池水に影さへ見えて咲きにほふ
馬酔木の花を袖に扱入れな

歌の意味
池の水に影までも映って、美しく照り映えて咲いている馬酔木の花を、しごき取って袖に入れよう。
鑑賞
巻第二十 雑歌 4512

詞書は前の歌に続き「山斎を属目して作る歌三首」
 池の水に影まで映って咲き誇る馬酔木の花を、しごき取って袖に入れようと、庭の花を愛でた一首である。左注によれば、右中弁大伴家持の作である。前歌の馬酔木を受け、池に映る影という景を加えて、花を袖に入れて持ち帰りたいほどの美しさを讃えている。
 作者の大伴家持は大伴旅人の子で、この時は右中弁であった。

 初句「池水に」は庭の池の水にの意である。
 二句「影さへ見えて」は花の影までも映って見えての意で、「さへ」は添加である。
 三句「咲きにほふ」は色美しく照り映えて咲くの意である。
 四句「馬酔木の花を」は前歌の四句「馬酔木の花も」を受けている。
 結句「袖に扱入れな」の「扱入る」はしごき取って入れる意、「な」は意志で、袖に入れようと結ぶ。

こきいる:しごき取って入れる
にほふ:色美しく照り映える
作者
大伴家持
出典
万葉集
前の歌
鴛鴦の住む君がこの山斎今日見れば 馬酔木の花も咲きにけるかも
次の歌
磯影の見ゆる池水照るまでに 咲ける馬酔木の散らまく惜しも