梅の花今は盛りになりぬらん
頼めし人のおとづれもせぬ
- 歌の意味
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梅の花は今ごろは盛りになっているだろう。それなのに、便りをすると約束したあの人は何の音沙汰もない。
- 鑑賞
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巻第一 春歌上 38
詞書「相知りて侍りける人の家に罷れりけるに、梅の木侍りけり、この花咲きなん時、必ず消息せむと言ひ侍りけるを、音なく侍りければ」
梅が咲いたら必ず知らせると約束した友人から何の便りもないので、もう盛りになっているだろうにと催促した歌である。梅の盛りを思いやりつつ、約束を忘れた相手をやんわりととがめている。
詞書によれば、親しい人の家を訪ねたところ梅の木があり、この花が咲いたら必ず知らせようと言われていたのに、何の知らせもなかったので詠んだ歌である。次歌はその人、紀長谷雄の返歌である。
作者の「朱雀院の兵部卿のみこ」は斉世親王とされる。宇多天皇の皇子で、兵部卿を務め、のちに出家した。
初句「梅の花」は、約束の対象となった友人宅の梅を示す。
二句「今は盛りに」は、今ごろは盛りに、の意で、日数を数えて推し量っている。
三句「なりぬらん」の「らん」は現在推量で、見えない所の梅の盛りを思いやっている。ここで句切れとなる。
四句「頼めし人の」の「頼む」は下二段活用で、あてにさせる意である。必ず知らせると約束して期待させた人を示す。
結句「おとづれもせぬ」は、便りもよこさない、の意で、連体形「ぬ」で止めて不満を余韻として残している。
たのむ:下二段活用で、あてにさせる、約束して期待させる
おとづる:便りをする、訪れる
せうそこ:便り、手紙
- 作者
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斉世親王
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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君がため山田の沢にゑぐ摘むと 濡れにし袖は今も乾かず
- 次の歌
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春雨にいかにぞ梅やにほふらん 我が見る枝は色も変はらず