我がために思はぬ山の音にのみ
花さかりゆく春を恨みむ
- 歌の意味
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私のために思いもよらぬ山に入るなどと、噂に聞くばかりで、花盛りのこの春に、あなたが遠ざかっていくのを恨むことにしよう。
- 鑑賞
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巻第二 春歌中 71
詞書「返し」
前歌で、つれない相手のせいで山に入ってしまおうかと詠みかけた藤原朝忠に対し、そんな話は噂に聞くばかりで、花盛りの春に離れていくあなたこそ恨めしいと切り返した歌である。山に入るという相手の言葉を逆手に取り、つれないのはむしろあなたのほうだと応じている。
前歌の第七十首と贈答をなす。
作者の「小弐」が誰を指すかについては定説を見ない。宮中などに仕えた女房の呼び名で、父や縁者の大宰少弐の官職にちなむものと見られる。
初句「我がために」は、私のせいで、の意で、前歌のつれないという恨みを受けている。
二句「思はぬ山の」は、前歌の第七十首の「思はぬ山」をそのまま受けている。
三句「音にのみ」の「音」は噂、評判の意で、噂に聞くばかりで、の意を表す。
四句「花さかりゆく」の「さかり」は、「花盛り」の「盛り」と、遠ざかる意の「離り」を掛けた掛詞である。花盛りの春に、相手が離れていくことを表す。
結句「春を恨みむ」の「む」は意志で、春を恨もう、の意である。相手を直接責めず、春を恨むという形で恨みを表している。
さかる:花が「盛る」意と、遠ざかる意の「離る」を掛ける
おと:うわさ、評判
- 作者
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小弐
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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時しもあれ花の盛りにつらければ 思はぬ山に入りやしなまし
- 次の歌
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春の池の玉藻に遊ぶにほ鳥の 足のいとなき恋もするかな